先祖調査の手引き


 自分の先祖を探ることは、身近に歴史を推理する楽しみがあって、つまらない趣味をもつよりも、ずっと有意義だと思うがいかがであろうか。
 では、自分の先祖を調べるには、どうしたらよいか。ここでは、下記のように第一段階から第五段階まで分けて、簡単に手順を示したが、もちろん、これがすべてではない。初歩的な調査方法にすぎないが、この手順を繰り返していくことによって、先祖の調査は無限に広がっていくはずである。
 さて、調査にあたって注意すべきことは、まず冷静で、正確な推理ですすんでいくことである。なぜなら、どんな人の先祖にも、悪人もいれば、善人もいるからである。悪人がいたからといって避けてはならない。科学的な立場で臨むことである。次に、常に、先祖が生きた時代とその地理とを考えることである。そして、資料はどんな小さなことでも、推理を働かせて収集すべきことだ。特に、古老の話、口碑・伝説までも大切にすることである。最も大切なことは、自分の周辺の新しいところから、次第に、過去へと遡っていく”根気”である。古代から現代へいくのではなく、自分を中心に、現代から古代へと逆に調査していくことだ。
 自分の先祖を探して、地方を旅行するときには出来る限り時間を作って、その地域の図書館あるいは郷土歴史館で、先祖の史料を探すことが大切だ。全く、無関係な土地だと思われていたところに、意外なつながりが発見されたり、また、思いもよらない一族に巡り会うこともあるからだ。

■先祖を調べる五段階アプローチ
●第一段階
事典類によって 基礎知識を
まず手始めに
誰もが自分の苗字は知っている。この苗字について「姓氏家系大辞典」、家紋がわかれば「日本紋章学」、両親の出身地については「大日本地名辞典」等で基礎的な知識を身につけておく。
●第二段階
親族等の関係書類の 調査にすすむ
最初の資料として
自分と両親の戸籍を本籍地の役所にいって調査。そして物故者については、仏壇にある位牌・過去帳などを調べる。 各人の事蹟を調べるには、履歴書・卒業証書・各種の免許証などをこまめに、たどっていく。
●第三段階
古い記録の資料を 広くあたる
次第に古い方へ
自家の系図・先祖の由緒書、家の古い記録(日記も)帳簿類、古文書等を調査。さらに自分の苗字に関係する地方の書類(地方文書という)、検地帳・名寄帳・宗門人別帳等などと、次第に昭和・大正、明治より江戸へと調査する。
●第四段階
遺物・遺蹟の 調査をすすめる
苗字の記されたもの
墓碑、記念碑、記念品ほか神社や寺院の建造物、石灯篭・石柵・玉垣・鳥居・太鼓・神輿・棟札など、およそ苗字が記されたものはすべてあたっていく。特に墓地を調べていくと、思わぬ資料が得られることがある。
●第五段階
ファミリーツリーの
作成をはじめる
自分で系図を作ろう
ファミリーツリーは、自分を幹として、両親の枝へ、さらに祖父母の小枝へと、時の流れを下から上へと遡って記す独特の系図だが、ある程度調査がすすんだら作成にかかり、小枝を次第に増やしていこう。


 あなたの先祖を調べるには、まず、自分の両親のこと、祖父母のこと、さらに、親族のことを気長に調査していくことから始めなければならない。これを飛び越えて、先祖を調べることは無謀というほかはない。早く自分の先祖を知ろうとして、近い時代のことは抜きにして、昔のことばかりを調べたがるのは、大きな間違いである。なによりも自分自身から出発して、次第次第に、一歩一歩、現在から過去に遡っていくことが大切だ。そのためには、ぜひとも、自分を中心とした親族図を作成することを勧める。
 では、親族図とは何か?親族とは、血統もしくは婚姻(養子縁組みを含む)によって結合した自分の関係者のことである。親属・親戚・親類・一家・一族・同族・一門とも、称されている。この親族を大別すると内戚と外戚とになる。内戚とは、内親とも男党とも称し、男系統の血縁者、いわゆる父党・夫党をさす。また、外戚とは、女党をさし、女系統の血縁者、いわゆる母党・妻党をさす。
 次に、親族には本親と傍親との区別がある。本親とは、父子の関係の延長をいい、高祖父・曾祖父・祖父・子・孫・曾孫・玄孫などであり、また、傍親とは兄弟関係のもの、および、その子孫をいい、父母の兄弟・祖父母の兄弟等とその子孫である。つまり、叔父叔母・甥・姪などが傍親にあたる。家系からいうと、この本親・傍親が、直系か傍系の分かれ目になり、本家・分家の関係が生じる。
 ただ、ここで注意したいのは、よく本家争いということがあり、そのために先祖を調べるということがあることである。これは、まことに有害なことであって、本家であるか、分家であるか、を明かにすることに囚われると、ほんとうの先祖を探ることができなくなる。
 先祖探しの第一歩は、自分を中心とした「親族図」を作成するところから、はじめていただきたい。
日本姓氏総覧:歴史読本(S51.04)新人物往来社刊






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