摂津・和泉・河内の三ヶ国が境を接する堺市堺区甲斐町東に鎮座する開口神社は、原村の素盞嗚命、木戸村の生国魂命を合祀し、「開口三村大明神」と呼ばれて堺の氏神として崇敬を集める旧堺市内唯一の式内社である。社伝によれば、神功皇后が三韓征伐の帰途、この地に塩土老翁神を祀るべしとの勅願により創建されたと伝える。
塩土老翁神は住吉大社の住吉三神の一つであることから、「住吉の奥の院」とも呼ばれている。
神仏習合の時代になると、行基が神社境内に念仏寺を建立、のちに弘法大師空海が宝塔を境内に真言密教の道場「密乗山大念仏寺」を建てたことから、江戸時代末期まで寺僧によって社務が行われていたという。盛時の社域は相当な広さを有していたようで、明治維新後、
境内に堺県県庁、堺市役所などがおかれ、府立第二尋常中学(現三国丘高校) が境内に設置された。
開口神社の神紋は、三つ茄子という珍しいものだ。もともとは三つ巴であったが、氏子が珍しい「三つ成り茄子」を奉納したことから三つ茄子に改めたのだと伝えている。また、商店街側にある神社西門の傍らに「金龍井」と呼ばれる古い井戸があるが、むかし、海会寺という寺があり、海会寺の和尚に救われた竜神がお礼に清水を湧かせたものという。さらに境内には塩土老翁神(開口大神)ゆかりの影向石、
芸能ゆかりの扇石などがあり、ユックリ散策すれば面白い発見がある神社だ。
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