伊賀と並んで忍者の里として知られる近江国甲賀へ一昨年の暮れから昨年の春にかけて再三にわたって足を運んだ。戦国期の甲賀には、山中・三雲・佐治・望月・大原・美濃部・和田などの土豪諸氏が割拠し、甲賀五十三家と称されていた。それぞれの出自は平氏、橘氏、伴氏など一様ではないが、戦国時代の近江に小さからぬ足跡を残している。
それら甲賀武士が拠った山城や、所縁の神社、仏閣を中心に訪ね歩いたわけだが、そのなかで面白い発見をした。甲賀には「木瓜」紋が多いということだ。甲賀武士のうち伴氏一族が「木瓜」を家紋とし、甲賀の総鎮守とされる油日神社大原氏ら伴一族の氏神という大鳥神社が「木瓜に二つ引両」を神紋としていたのだ。 |