祇園祭、宵山で家紋を見る


祇園祭は京都八坂神社の祭礼で、大阪の天神祭・東京の神田祭とともに、 日本三大祭のひとつに数えられる大祭だ。その起源は、平安時代のはじめに京で疫病が流行したとき、神泉苑に 当時の国の数にちなんで六十六本の鉾を立て、祇園の神(スサノオノミコト)を迎えて災厄が取り除かれるよう 祈ったことが始まりという。いずれにしても千年以上という、とてつもない古い歴史を有する祭だ。
八坂神社には何度か行く機会があったが、祇園祭そのものをジックリ見物する機会はなかった。昨年、 思いがけず京都に住むことになり、今年は宵山に出かけてきた。人ごみの多さには閉口するものの、 さすがに素晴らしい祭で、八坂神社の「瓜」「巴」紋をはじめ、家の玄関口に巡らされた幕などに家紋があふれている。 祇園祭は京の歴史と家紋がセットになった祭であったのだった。
・写真:神泉苑 (20080813)



宵山のスナップ
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祇園祭の見ものは飾り山と鉾で、各町ごとに飾られた三十二基の山鉾は見事なもので、提灯に火の入った宵を迎えると 幻想的な雰囲気を醸し出す。山鉾が祇園祭に登場したのは十四世紀はじめのことで、近世以降、 町衆と呼ばれる京都の商人たちによって運営されるようになった。かつて、放映されたNHKの朝の連ドラ「都の風」で、 祇園祭にかける京都町衆(商人)の熱い思いいれが描かれていたことが思い出される。



宵山-家紋ウオッチング
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宵山の町を歩くと、旧家や老舗の家々が自家に伝わる宝物を展示する屏風祭が行われていた。そして、それぞれの家の 軒先には家紋が染められた幕が飾られ、いまも家紋が大事に用いられていることに嬉しくなる。京都の歴史は寺社や公家だけ でなく、町屋にも脈々と息づいていることを祇園祭は実感させてくれる。