村上・宇多・嵯峨源氏の家紋から探る
村上源氏の嫡流である久我氏は「笹竜胆」を家紋とし、一族も笹竜胆紋を用いており、
笹竜胆紋は清和源氏というより村上源氏の代表紋であったといえよう。
他方、宇多源氏流佐々木氏は「目結」が、嵯峨源氏の渡辺氏は「三つ星」が、それぞれ代表紋として知られる。
徳川幕府が編纂した「寛政重修諸家譜(寛政譜)」には、村上源氏流の家は二十一氏三十四家で、巴紋が一割を
占めているが代表紋とはいいがたい。村上源氏のうち久我氏流をみると鷹羽がほぼ半数を占めているが、
そのほとんどが久世氏一族で久我氏流の代表紋とはいいがたい。一方、公家の久我氏流では、いずれも「笹竜胆紋」を用いていて
笹竜胆紋が久我氏流の代表紋であることがわかる。村上源氏の赤松氏流では、笹竜胆が20%、巴が17%を占めていて、
笹竜胆紋は村上源氏の代表紋といってよさそうだ。
ついで宇多源氏は百二十三氏三百二十二家を数え、宇多源氏、宇多源氏支流、佐々木氏支流に大別される。
宇多源氏では三割が「四つ目結紋」、宇多源氏支流では二割が「四つ目結紋」、そして、佐々木氏支流では
三割が「四つ目結紋」で、宇多源氏の代表紋は文句なく「四つ目結紋」であろう。ちなみに、
公家の宇多源氏流の家を見ると、いずれも笹竜胆紋をもちいており、
こちらは村上源氏流と同様に笹竜胆が代表紋であった。
最後に嵯峨源氏は十五氏六十三家を数え、そのうち「三つ星一文字紋」と「三つ星紋」が四分の一を占めている。
嵯峨源氏の場合は、通説通りに三つ星一文字紋と三つ星紋が代表紋といえそうだ。
● 村上源氏略系図
● 宇多源氏略系図
● 嵯峨源氏略系図
■各流諸家の代表紋
村上源氏 |
久我氏 | 竜胆 |
久我支流 | 鷹の羽 |
公家流* | 竜胆 |
北畠氏 | 桐/菱 |
赤松氏 | 巴/竜胆 |
*中院、愛宕、岩倉、千種、植松、東久世、久世氏などがある。
*庭田、綾小路、五辻、大原、慈光寺氏などがある。
|
[参考資料:日本紋章(沼田頼輔著・人物往来社刊) ・歴史百科(新人物往来社・昭和53年発刊)]
|
|
戦場を疾駆する戦国武将の旗印には、家の紋が据えられていた。
その紋には、どのような由来があったのだろうか…!?。
|
|
|